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《書 誌》
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【文献番号】 25500890
【文献種別】 判決/東京高等裁判所(控訴審)
【裁判年月日】 平成22年 2月10日
【事件名】 相続税更正の請求が理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件
【審級関係】 第一審 25500741
東京地方裁判所 
平成21年10月 8日 判決
上告審 25501233
最高裁判所第二小法廷 
平成22年12月24日 決定
【事案の概要】 亡Aの共同相続人である原告(控訴人)らが、相続に係る未分割遺産であった本件株式につき、亡Aの相続に係る相続税の申告後に遺産分割がされたとして、平成6年改正前の相続税法32条1号に基づく更正の請求をしたところ、更正をすべき理由がない旨の本件通知処分を受けたことから、異議申立手続及び審査請求手続を経た上で、その取消を求めた事案の控訴審において、控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当であるとされた事例。
【判示事項】 〔TKC税務研究所〕
  1. 相続税法32条1号の趣旨。
(要旨文献番号:60059689)
  2. 相続税法32条1号の適用範囲を画する財産の分割の意義。
(要旨文献番号:60059690)
  3. 未分割遺産について遺産分割が行われたとする更正の請求が否定された事例。
(要旨文献番号:60059691)
  4. 相続財産に係る共有持分の放棄により遺産分割が成立したとは認められないとした事例。
(要旨文献番号:60059692)
  5. 異議決定及び審査裁決の各手続きの違法・不当を理由とする通知処分取消請求の適否。
(要旨文献番号:60059693)
  6. 調査手続の違法が更正処分の違法事由となる場合。
(要旨文献番号:60059694)
【裁判結果】 棄却
【上訴等】 上告
【裁判官】 柳田幸三 大工強 岩坪朗彦
【掲載文献】 税務訴訟資料260号順号11377
【参照法令】 相続税法32条
相続税法55条
国税通則法23条
【全文容量】 約3Kバイト(A4印刷:約3枚)




 《全 文》

【文献番号】25500890  

相続税更正の請求が理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件
東京高等裁判所平成●●年(○○)第●●号
平成22年2月10日第12民事部判決

       判   決

控訴人(選定当事者) 甲
(選定者は別紙選定者目録記載のとおり。)
被控訴人 国
同代表者法務大臣 千葉景子
処分行政庁 函館税務署長 大岡勉
指定代理人 名島亨卓
同 出田潤二
同 飯塚篤
同 行場孝之
同 宮森弘治
同 天満三樹
同 植田秀史


       主   文

1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。


       事実及び理由

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 処分行政庁が、控訴人及び選定者(乙)に対して平成19年3月13日付けでした相続税の更正の請求が理由がない旨の通知処分を取り消す。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
 控訴人及び選定者(この両名を、以下「控訴人ら」という。)は、昭和59年9月25日に死亡した亡丙(以下「亡丙」という。)の共同相続人である。控訴人らは、その相続に係る未分割遺産であった株式会社A(以下「本件会社」という。)の株式2万4700株(以下「本件株式」という。)につき、亡丙の相続に係る相続税の申告後(本件会社の清算中)の平成18年6月又は7月に遺産分割がされたとして、同年9月6日付けで相続税法(平成6年法律第23号による改正前のもの。以下同じ。)32条1号に基づく更正の請求をしたところ、処分行政庁が、平成19年3月13日、本件株式につき遺産分割がされたとは認められないとして、上記更正の請求は更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件各通知処分」という。)をしたことから、本件各通知処分が違法であるとして、異議申立手続及び審査請求手続を経た上で、本件各通知処分の取消しを求めた。なお、選定者は、原審において、控訴人を選定当事者に選定した。
 原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したところ、控訴人が請求の認容を求めて控訴した。
2 当事者の主張等
 関係法令の定め、前提事実、相続税額等の計算の基礎となる金額及び計算方法、争点及びこれに関する当事者の主張の要旨は、原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1ないし5に記載のとおりであるから、これを引用する。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所も、控訴人らの請求は、いずれも理由がないと判断する。その理由は、17頁8行目から9行目にかけての「Eのと間」を「Eとの間」に改め、次のとおり控訴理由に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」に説示するとおりであるから、これを引用する。
(控訴理由に対する判断)
1 遺産分割の成立等に関する主張について
 控訴人は,本件株式に係る相続持分の放棄により遺産分割が成立し、また、本件株式に係る遺産分割の協議が控訴人らとEとの間で成立したなどとして、関係法令の解釈等について種々の主張をするが、これらの主張は、上記理由説示に反するか、証拠に基づかないか、又は当裁判所の見解とは異なる独自の見解に基づくものであるから、採用することができない。
2 処分行政庁における審理手続上の瑕疵に関する主張について
 この点に関する控訴人の主張も、上記理由説示に反するか、又は当裁判所の見解とは異なる独自の見解に基づくものであるから、採用することができない。 
第4 結論
 以上によれば、控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当であって、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとする。
東京高等裁判所第12民事部
裁判長裁判官 柳田幸三 裁判官 大工強 裁判官 岩坪朗彦

選定者目録
(選定者) 乙


 

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