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《書 誌》
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【文献番号】 25471394
【文献種別】 判決/東京高等裁判所(控訴審)
【裁判年月日】 平成21年10月14日
【事件名】 更正請求に対する通知処分取消請求控訴事件
【審級関係】 第一審 25471393
東京地方裁判所 
平成21年 6月26日 判決
上告審 25471395
最高裁判所第三小法廷 
平成22年 4月13日 決定
【事案の概要】 亡Aの相続人である原告(控訴人)らが、亡AにおいてB社から約束手形の回収の報酬等として受領した金員に関し、亡Aの当該金員に係る所得税の納税義務を承継したとして平成7年分ないし同10年分の所得税の決定処分等がされた後、上記金員に関して、Cから不法行為に基づく損害賠償訴訟が提起され、同訴訟で敗訴したため(以下、別件判決という。)、処分庁に対し、本件各係争年分の所得税に係る上記決定処分等を更正すべき旨を請求したが、更正すべき理由がない旨の通知を受けたことから、その取消しを求めた事案の控訴審において、本件課税処分に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実が、別件判決によって異なるものであることが確定したということはできないから、別件判決がされたことは、国税通則法23条2項1号の規定する更正の請求の事由には当たらない等とした原判決を支持して、本件控訴をいずれも棄却した事例。
【判示事項】 〔TKC税務研究所〕
  1. 納税者に損害賠償金の支払いを命ずる判決がされたことは、国税通則法23条2項1号の規定する更正の請求の事由に当たらないとした事例。
(要旨文献番号:60056402)
  2. 別件判決が支払を命じた金員に所得税法45条1項7号の適用があるか否かは、被相続人の納税義務を承継した原告について決せられるべきでなく、所得者である被相続人について決せられるべきであるとした事例。
(要旨文献番号:60056403)
  3. 損害賠償金の支払を命ずる判決の確定をもって、経済的成果が消滅したといえないとして、所得税法施行令274条1号の更正の請求の事由に該当しないとした事例。
(要旨文献番号:60056404)
  4. 被相続人の不法行為を知らずに、その納税義務を承継した相続人に被相続人の納税義務を負担させることは憲法13条、14条、25条又は29条に反しないとした事例。
(要旨文献番号:60056405)
【裁判結果】 棄却
【上訴等】 上告
【裁判官】 藤村啓 坂本宗一 大濱寿美
【掲載文献】 税務訴訟資料259号順号11291
【参照法令】 国税通則法23条
所得税法45条
所得税法施行令98条
国税通則法5条
所得税法施行令274条
日本国憲法13条
日本国憲法14条
日本国憲法25条
日本国憲法29条
【被引用判例】(当判例を引用している判例等)
新潟地方裁判所 
平成24年 1月26日
【全文容量】 約2Kバイト(A4印刷:約3枚)




 《全 文》

【文献番号】25471394  

更正請求に対する通知処分取消請求控訴事件
東京高等裁判所平成●●年(○○)第●●号
平成21年10月14日第15民事部判決

       判   決

控訴人 甲
控訴人 乙
上記両名訴訟代理人弁護士 小山信二郎
同復代理人弁護士 神谷延治
被控訴人 国
代表者法務大臣 千葉景子
処分行政庁 熊本東税務署長 野津隆文
指定代理人 川勝庸史
同 嶺山登
同 丸山京一郎
同 志賀弘一
同 杉村博司
同 濱田和隆
同 井手上秀文


       主   文

本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。


       事実及び理由

第1 当事者の求める裁判
1 控訴の趣旨
(1)原判決を取り消す。
(2)被相続人丙に係る平成7年分、平成9年分及び平成10年分の所得税の各更正の請求に対して平成18年11月7日付けでされた更正をすべき理由がない旨の熊本東税務署長による各通知処分をいずれも取り消す。
(3)訴訟費用は第1、2審を通じて、被控訴人の負担とする。
2 控訴の趣旨に対する答弁
 主文同旨
第2 事案の概要
1 事案の要旨
 丙(平成10年2月22日死亡。以下「丙」という。)は生前株式会社A(以下「A」という。)からA振出しに係る約束手形の回収の報酬等として金員を受領したが、同人死亡後、熊本東税務署長は、同人の相続人らである控訴人らが同金員に係る所得税の納税義務を承継したとして平成7年分ないし同10年分の所得税の決定処分等を行った。ところでAは、丙に上記金員を交付したのは同人の詐欺によるものであるなどとして控訴人らに対し不法行為に基づく損害賠償請求等の訴訟を提起し、控訴人らは同訴訟においてAに対する損害賠償金の支払を命ぜられた。そこで控訴人らは、熊本東税務署長に対して国税通則法(以下「通則法」という。)23条2項1号又は所得税法152条及び同条による委任を受けた同法施行令274条所定の事由が生じたとして、平成7年分、同9年分及び同10年分(以下「本件各係争年分」という。)の所得税に係る上記決定処分等を更正すべき旨を請求したが、更正すべき理由がない旨の通知(以下「本件通知処分」という。)を受けた。
 本件は、控訴人らが本件通知処分は不当であるとして、その取消しを求める事案である。
2 前提事実等、争点及びこれに関する当事者の主張
 標記の点は、原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1及び2(原判決2ページ末行から14ページ15行目まで)に記載のとおりであるからこれを引用する。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、控訴人らの請求は理由がないと考える。その理由は、原判決の「事実及び理由」中の「第3 争点に対する判断」の1ないし3(14ページ17行目から20ページ4行目まで)に記載のとおりであるからこれを引用する。
2 控訴人らは当審において原審の認定判断が不当である旨るる主張するが,いずれの主張も基本的には原審での控訴人らの主張を繰り返すものにすぎず、原審の認定判断を覆すに足りるものではない。 
3 よって、以上と同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第15民事部
裁判長裁判官 藤村啓 裁判官 坂本宗一 裁判官 大濱寿美


 

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