最新判例
 
令和5年6月3回目紹介判例
(令和5年6月15日新着判例より)


話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。


【文献番号】 25594978
・裁判年月日 令和 5年 4月20日
・文献種別 決定/東京高等裁判所(抗告審(即時抗告))
・事件番号 令和4年(ラ)第2609号
・事件名 婚姻費用分担審判に対する抗告事件
・概要 抗告人(原審相手方)と相手方(原審申立人)は、長女(現在3歳)をもうけた別居中の夫婦であるところ、妻であり長女を監護する相手方が、夫である抗告人に対し、婚姻費用の分担を求める調停を申し立てたが、調停が成立しなかったことから審判に移行し、原審は、抗告人に対し、令和2年3月から令和4年9月までの未払婚姻費用84万4033円を直ちに、同年10月から当事者が離婚又は別居状態の解消に至るまで、毎月末日限り、1か月当たり11万5000円を相手方に支払うよう命じる審判をしたため、これに不服の抗告人が即時抗告した事案において、原審と異なり、抗告人が相手方に対して令和2年3月から令和5年7月までに支払うべき婚姻費用の全額及び同年8月に支払うべき婚姻費用のうち1万2867円が既払であり、抗告人に対し、令和5年8月末日限り同月分残金8万7133円を、同年9月から当事者の離婚又は別居状態の解消に至るまで、毎月末日限り、1か月当たり10万円を相手方に支払うよう命じるのが相当と判断し、原審判を変更した事例。

【文献番号】 25595142
・裁判年月日 令和 5年 3月24日
・文献種別 判決/前橋地方裁判所(第一審)
・事件番号 令和2年(ワ)第259号
・事件名 弁護人選任権侵害等国家賠償請求事件
・概要 脅迫罪の被疑事実で逮捕され、弁解録取手続し、罰金5万円の略式命令を受けた後、原告が正式裁判の請求をし、本件請求1は、〔1〕被告群馬県の公権力の行使に当たる公務員である警察官が、原告の逮捕の際の弁解録取手続において、原告の弁護人選任権を阻害する言動をしたこと、〔2〕被告群馬県の公権力の行使に当たる公務員である留置担当の警察官が、原告の逮捕中、原告が弁護人選任の申出をしたにもかかわらず、弁護士に対してその申出があったことの通知を怠ったこと及び〔3〕被告国の公権力の行使に当たる公務員である副検事が、原告の勾留請求前の弁解録取手続の際に、原告が弁護人選任の申出をしたにもかかわらず、弁護士に対してその申出があったことの通知を怠ったことにつき、被告らに対し、精神的損害と弁護士費用等の連帯支払を求め、本件請求2は、被告群馬県の公権力の行使に当たる公務員である警察官が、原告の逮捕中、原告の真意に基づく承諾や捜査の必要性がなかったにもかかわらず、本件採尿及び本件DNA型資料採取を行ったことにつき、被告群馬県に対し、精神的損害と弁護士費用等の支払を求め、本件請求3は、被告国の公権力の行使に当たる公務員である副検事が、原告が正式裁判の請求をして原告刑事被告事件の審理期間中、原告に対し、同請求を取り下げるように強要し又はこれを迫り、あるいは原告において同請求を取り下げるように要求をされたと受け取るような行為につき、被告国に対し、精神的損害と弁護士費用等の支払を求めた事案で、本件請求1は、被告国の副検事による勾留請求前の弁解録取手続における原告の弁護人選任権に係る行為について国家賠償法上違法な点があるとは認められないとして、棄却し、本件請求2は、被告群馬県の警察官らによる本件DNA型資料採取は、警察官らが負っている職務上の注意義務に違反するものとして、国家賠償法上違法なものであり、また、担当した警察官らに過失があることも明らかであり、被告群馬県には、当該行為によって原告が被った損害賠償責任があるとして、一部認容し、本件請求3は、副検事の原告に対する各発言は、その内容やこれらが複数回にわたって行われたことに加え、各発言がされた時の状況や原告と副検事との関係性などに照らせば、原告の裁判を受ける権利を侵害するものというべきであるから、副検事の当該行為は、職務上の注意義務に違反するものとして、国家賠償法上違法なもので、副検事に過失があることも明らかであり、被告国には、原告が被った損害賠償責任があるとして、一部認容した事例。


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