最新判例
 
令和5年2月2回目紹介判例
(令和5年2月9日新着判例より)


話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。


【文献番号】 25572567
・裁判年月日 令和 5年 1月30日
・文献種別 決定/最高裁判所第一小法廷(特別抗告審)
・事件番号 令和4年(し)第594号
・事件名 検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出一部不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
・概要 申立人が、東京簡易裁判所の略式命令により終結した政治資金規正法違反被告事件に係る刑事確定訴訟記録(本件保管記録)の閲覧請求をしたのに対し、本件保管記録の保管検察官が、閲覧を一部不許可とした(本件閲覧一部不許可処分)ため、申立人が東京簡易裁判所に準抗告を申し立てたという事案の特別抗告審において、本件閲覧一部不許可処分は、検察庁法12条、関係通達に基づき、東京地方検察庁に属する検察官が東京区検察庁の検察官の事務を取り扱ってしたものであると認められ、地方検察庁に属する検察官が区検察庁の検察官の事務取扱いとして保管記録の閲覧に関する処分をした場合、当該区検察庁の対応する簡易裁判所は、刑事確定訴訟記録法8条1項にいう「保管検察官が所属する検察庁の対応する裁判所」に当たるというべきであり、東京簡易裁判所は本件準抗告の管轄裁判所でないとして、本件閲覧一部不許可処分の当否を審査しないまま、本件準抗告を棄却した原決定を取消し、本件を東京簡易裁判所に差し戻すことを命じた事例。

【文献番号】 25572563
・裁判年月日 令和 5年 1月30日
・文献種別 判決/最高裁判所第二小法廷(上告審)
・事件番号 令和3年(受)第2050号
・事件名 発信者情報開示請求事件
・概要 インターネット上の電子掲示板に原判決別紙2投稿記事目録記載の本件記事が投稿されたことによって自己の権利を侵害されたとする上告人が、本件記事を投稿した者にインターネット接続サービスを提供した経由プロバイダである被上告人に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項(令和3年法律第27号による改正前のもの)に基づき、上記権利の侵害に係る発信者情報として、被上告人の保有する原判決別紙1発信者情報目録記載〔5〕の本件情報(発信者の電話番号)等の開示を請求したところ、原審は、本件情報の開示を求める上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該権利の侵害が改正省令の施行前にされたものであったとしても、プロバイダー責任制限法4条1項に基づき、当該権利の侵害に係る発信者情報として、上記施行後に発信者の電話番号の開示を請求することができるとして、上告人は、上記施行前に本件記事の投稿によってされた自己の権利の侵害に係る発信者情報として、発信者の電話番号の開示を請求することができるとして、原判決中、上告人の原審における追加請求に関する部分は破棄し、原審の確定した事実関係の下においては、上記部分に関する上告人の請求は理由があるから、上記請求を認容した事例。

【文献番号】 25572561
・裁判年月日 令和 5年 1月27日
・文献種別 判決/最高裁判所第二小法廷(上告審)
・事件番号 令和3年(受)第968号
・事件名 損害賠償請求事件
・概要 統合失調症の治療のため、上告人(被告・被控訴人。香川県)の設置する本件病院に入院した患者が、入院中に無断離院をして自殺したことについて、患者の相続人である被上告人(原告・控訴人)が、上告人には、診療契約に基づき、本件病院においては無断離院の防止策が十分に講じられていないことを患者に対して説明すべき義務があったにもかかわらず、これを怠った説明義務違反があるなどと主張して、上告人に対し、債務不履行に基づく損害賠償を求め、原審は、平日の日中は敷地の出入口である門扉が開放され、通行者を監視する者がおらず、任意入院者に徘徊センサーを装着するなどの対策も講じていないため、単独での院内外出を許可されている任意入院者は無断離院をして自殺する危険性があることを負っていたとし、これをを怠った説明義務違反を理由とする被上告人の損害賠償請求を一部認容したため、上告人が上告した事案で、上告人が、患者に対し、本件病院と他の病院の無断離院の防止策を比較した上で入院する病院を選択する機会を保障すべきであったということはできず、これを保障するため、上告人が、患者に対し、本件病院の医師を通じて、説明をすべき義務があったということはできないとし、本件病院の医師が、本件患者に対し、説明をしなかったことをもって、上告人に説明義務違反があったということはできないとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、上記部分に関する被上告人の請求を棄却した事例。


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