最新判例
 
令和4年12月1回目紹介判例
(令和4年12月1日新着判例より)


話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。


【文献番号】 25572427
・裁判年月日 令和 4年11月21日
・文献種別 判決/最高裁判所第一小法廷(上告審)
・事件番号 令和3年(あ)第319号
・事件名 殺人被告事件
・概要 被告人が、被告人方において、妻であるA(当時38歳)に対し、殺意をもって、その頸部を圧迫し、Aを頸部圧迫による窒息により死亡させたとした事件で、第1審判決は、被告人の実行行為性を認めた上、犯行態様は危険で悪質なものであることなどを考慮し、被告人を懲役11年を言い渡し、原判決も、殺人の事実を認定した第1審判決の判断は相当であるとして、控訴を棄却したため、被告人が上告した事案で、Aの顔前面の血痕がないとして、本件自殺の主張は客観的証拠と矛盾するとした原判決の判断は是認できず、その判断に基づき被告人を有罪とした点には事実誤認の疑いがあり、また、その原因は、原審で十分な審理が尽くされなかったとして、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻した事例。

【文献番号】 25593721
・裁判年月日 令和 4年 7月20日
・文献種別 判決/大阪高等裁判所(控訴審)
・事件番号 令和3年(行コ)第64号
・事件名 所得税更正処分等取消請求控訴事件
・概要 承継前一審原告の亡Dが、平成26年分の所得税及び復興特別所得税について、収入の計上の誤り等を理由とする更正の請求をしたところ、処分行政庁から、更正すべき理由がない旨の通知処分を受けたほか、亡Dの子である被控訴人E及び同Gを賃貸人として第三者に賃貸された亡D所有土地の賃料に係る収益は亡Dに帰属するとして、増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、控訴人(国)に対し、本件各処分の取消しを求め、原判決は、本件訴えのうち、〔1〕本件通知処分の取消請求に係る部分及び〔2〕本件更正処分のうち更正の請求額を超えない部分の取消請求に係る部分について、いずれも訴えの利益を欠く不適法なものであるとして却下し、〔3〕本件更正処分の取消請求のうち本件更正請求における請求額を超える部分及び本件賦課決定処分の取消請求についてはこれらを認容する判決を言い渡したところ、控訴人が敗訴部分を不服として控訴した事案で、本件各駐車場に係る平成26年2月から同年12月までの所得はいずれも亡Dに帰属するとし、亡Dの平成26年分の所得税等の総所得金額及び納付すべき税額は本件更正処分のとおりと認められるから、本件更正処分は適法であり、被控訴人らの請求はいずれも棄却するのが相当であるとして、原判決中、控訴人敗訴部分を取り消し、前記取消しにかかる被控訴人らの請求を棄却した事例。

【文献番号】 25593562
・裁判年月日 令和 4年 9月30日
・文献種別 判決/東京地方裁判所(第一審)
・事件番号 令和1年(行ウ)第461号等
・事件名 在留資格変更不許可処分無効確認等請求事件(第1事件)、国家賠償請求事件(第2事件)
・概要 アメリカ合衆国(米国)国籍を有する外国人男性である原告Aが、日本国籍を有する男性である原告Bと米国において同性婚をしたとして、出入国管理及び難民認定法に基づき、「定住者」への在留資格の変更の申請をしたところ、当時の東京入国管理局長から在留資格の変更を許可しない旨の処分を受け、その後、「定住者(又は『特定活動』)」への在留資格の変更の申請をしたところ、東京入管局長から在留資格の変更を許可しないことなどを内容とする通知を受けたことから、本件不許可処分が無効であることの確認及び本件通知の取消しを求めるとともに、東京入管局長に対し「定住者」への在留資格の変更の許可の義務付けを求め(第1事件)、また、原告らが、被告・国に対し、本件不許可処分等は東京入管局長が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して行ったものであり、これにより法的利益の侵害を受けたなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金等の支払をそれぞれ求めた(第2事件)事案で、原告Aは、本件不許可処分後、再度の在留資格の変更の申請及び申請内容変更の申出をし、これに基づき、東京入管局長から「出国準備」への在留資格の変更の許可を適法に受けているものであるから、これにより、本件不許可処分の無効を確認する利益を喪失したと認められ、本件無効確認の訴えは確認の利益を欠いているというべきであり、他方、東京入管局長としては、通常尽くすべき職務上の義務を尽くしているということができ、原告Aが「定住者」の在留資格に該当しないと判断したことについても、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえないから、本件訴えのうち、原告Aの本件第1事件に係る訴えを不適法却下し、原告らの第2事件に係る請求をいずれも棄却した事例。


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