令和4年9月2回目紹介判例
(令和4年9月8日新着判例より)
話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。
【文献番号】 |
25593168 |
・裁判年月日 |
令和 4年 7月13日 |
・文献種別 |
判決/東京地方裁判所(第一審) |
・事件番号 |
平成24年(ワ)第6274号等 |
・事件名 |
損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件 |
・概要 |
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う津波によって、東京電力が設置、運転する福島第一原子力発電所が破壊され、炉心損傷ないし炉心溶融に至ったこと等により、原子炉から放射性物質を大量に放出する事故が発生したことについて、東京電力の株主である原告らが、東京電力の取締役であった被告らにおいて、福島県沖で大規模地震が発生し、福島第一原発に津波が遡上して過酷事故(原子炉から放射性物質を大量に放出する事故)が発生することを予見し得たから、そのような過酷事故の防止に必要な対策を福島第一原発に速やかに講ずべきであったのに、これを怠った取締役としての善管注意義務違反等の任務懈怠があり、これにより、本件事故が発生し、東京電力に巨額の損害賠償責任や大幅に増加した廃炉費用の負担を余儀なくさせるなどの損害を被らせ、その損害額は22兆円を下らないなどと主張し、会社法847条3項に基づき、同法423条1項の損害賠償請求として、被告らに対し、連帯して、損害金22兆円及び遅延損害金を東京電力に支払うよう求めた株主代表訴訟の事案で、被告W4、被告W3、被告W1及び被告W2が、それぞれの任務懈怠の時点(被告W4は平成20年7月31日以降、被告W3は平成20年8月上旬頃以降、被告W1及び被告W2は平成21年2月11日以降)において、東京電力の取締役としての善管注意義務に従い、W4決定を前提とし、福島第一原発1号機~4号機に明治三陸試計算結果と同様の津波が襲来することを想定して、これにより全交流電源喪失(SBO)及び主な直流電源喪失となることを防止する対策を速やかに講ずるよう指示等を行っていたならば、本件事故を回避し得たであろうことを是認し得る高度の蓋然性が認められるから、上記被告らの任務懈怠と本件事故発生との間には因果関係が存在するとして、被告W4、被告W3、被告W1及び被告W2は、いずれも本件事故により東京電力に生じた損害を賠償する責任を負うとして、原告らの請求は、被告W1、被告W2、被告W3及び被告W4に対し、13兆3210億円及びこれに対する平成29年6月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯して東京電力に支払うよう求める限度で一部認容することとし、被告W1、被告W2、被告W3及び被告W4に対するその余の請求並びに被告W5に対する請求はいずれも棄却した事例。 |
【文献番号】 |
25593003 |
・裁判年月日 |
令和 4年 7月 6日 |
・文献種別 |
判決/東京高等裁判所(控訴審) |
・事件番号 |
令和3年(ネ)第5471号等 |
・事件名 |
損害賠償請求控訴事件、損害賠償請求附帯控訴事件 |
・概要 |
被控訴人(原審被告)医療法人との間で診療契約を締結したP3が、被控訴人医療法人の被用者であるP4医師から、被控訴人医療法人の開設する本件病院において、患者自身のがん組織を用いて作製されたワクチンによる治療を受けた際、P4医師及び被控訴人(原審被告)C社は、共謀して、P3に対し、本件治療において必要な説明をせず、また、必要な検査を実施せず、P3を死亡させたとして、P3の相続人である控訴人(原審原告)が、被控訴人医療法人に対して民法715条1項に基づき、被控訴人C社に対して民法709条に基づき、連帯して損害賠償金等の支払を求め、原審が、P4医師の説明義務違反を認め、本訴請求のうち被控訴人医療法人に対して110万円の支払等を命じ、その余の請求を棄却したところ、控訴人が原判決中控訴人敗訴部分を不服として控訴し、被控訴人医療法人も原判決中同被控訴人敗訴部分を不服として附帯控訴した事案で、控訴人の請求(当審において請求を減縮したもの)は、被控訴人医療法人に対して270万4760円及びうち245万4760円に対する平成29年8月12日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を求める限度で一部認容し、その余の請求を棄却すべきであるところ、これと異なり、被控訴人医療法人に対して110万円及びこれに対する平成29年8月12日から支払済みまで年5%の割合による金員の限度で請求を一部認容し、その余を棄却した原判決は一部失当であって、控訴人の被控訴人医療法人に対する本件控訴は一部理由があるから、原判決のうち被控訴人医療法人に対する請求に関する部分を上記のとおり変更することとし(仮執行免脱宣言は相当でないからこれを付さない。)、被控訴人C社に対する本件控訴及び被控訴人医療法人の附帯控訴をいずれも棄却した事例。 |
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