最新判例
 
令和2年10月2回目紹介判例
(令和2年10月8日新着判例より)


話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。


【文献番号】 25571088
・裁判年月日 令和 2年10月 1日
・文献種別 判決/最高裁判所第一小法廷(上告審)
・事件番号 平成30年(あ)第845号
・事件名 建造物侵入,埼玉県迷惑行為防止条例違反被告事件
・概要 被告人が、共犯者と共謀の上、盗撮用の小型カメラを設置する目的で、パチンコ店の女子トイレ内に、共犯者において侵入した上、用便中の女性の姿態を同所に設置した小型カメラで撮影し、公共の場所において、人を著しく羞恥させ、かつ、人に不安を覚えさせるような卑わいな行為をしたとする事案の上告審で、数罪が科刑上一罪の関係にある場合において、各罪の主刑のうち重い刑種の刑のみを取出して軽重を比較対照した際の重い罪及び軽い罪のいずれにも選択刑として罰金刑の定めがあり、軽い罪の罰金刑の多額の方が重い罪の罰金刑の多額よりも多いときは、刑法54条1項の規定の趣旨等に鑑み、罰金刑の多額は軽い罪のそれによるべきものと解するのが相当であるとし、原判決及びこれと同趣旨の第1審判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため本件を第1審裁判所に差し戻すこととした事例。

【文献番号】 25571089
・裁判年月日 令和 2年 9月30日
・文献種別 決定/最高裁判所第二小法廷(上告審)
・事件番号 令和1年(あ)第1751号
・事件名 傷害、強盗、窃盗被告事件
・概要 A及びBは、被害者に対し暴行を加えることを共謀した上、被害者のいるマンションの部屋に突入し、被害者に対し、カッターナイフで右側頭部及び左頬部を切り付け、多数回にわたり、顔面、腹部等を拳で殴り、足で蹴るなどの暴行を加え、被告人は、Aら突入の約5分後、自らも同部屋に踏み込んで、被告人は、被害者がAらから激しい暴行を受けて血まみれになっている状況を目にして、Aらに加勢しようと考え、台所にあった包丁を取出し、その刃先を被害者の顔面に向け、この時点で,被告人は被害者に暴行を加えることについてAらと暗黙のうちに共謀を遂げ、その後、同部屋で、被告人及びAは、脱出を試みて玄関に向かった被害者を2人がかりで取り押さえて引きずり、リビングルームに連れ戻し、こもごも、背部、腹部等を複数回蹴ったり踏み付けたりするなどの暴行を加え、また、Aらは、被害者に対し、顔面を拳で殴り、たばこの火を複数回耳に突っ込み、革靴の底やガラス製灰皿等で頭部を殴り付け、はさみで右手小指を切り付けるなどの暴行を加え、Aが、千枚通しで被害者の左大腿部を複数回刺した結果、被害者は、全治まで約1か月間を要する傷害を負ったとした事案において、被告人が共謀加担した前後にわたる一連の暴行は、同一の機会に行われたものであるところ、被告人は、右第六肋骨骨折の傷害を生じさせ得る危険性のある暴行を加えており、刑法207条の適用により同傷害についての責任を免れないと判示し、原判決には、被告人が同傷害についても責任を負うと判断した点で、同条の解釈適用を誤った法令違反があるといわざるを得ないが、この違法は判決に影響を及ぼすものとはいえないとして、本件上告を棄却した事例。


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