令和2年2月3回目紹介判例
(令和2年2月13日新着判例より)
話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。
【文献番号】 |
25570684 |
・裁判年月日 |
令和 2年 1月31日 |
・文献種別 |
判決/最高裁判所第三小法廷(上告審) |
・事件番号 |
令和1年(あ)第1987号 |
・事件名 |
公務執行妨害被告事件 |
・概要 |
公務執行妨害被告事件の上告審の事案で、原審の公判審理に関与していない裁判官が原審の判決書に判決をした裁判官として署名押印したことが認められ、原審の公判審理に関与していない裁判官が原判決に関与したこととなり、これは判決に影響を及ぼすべき法令の違反であって、かつ、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められるから、当事者双方の意見を聴いた上、刑事訴訟法411条1号、413条本文により、原判決を破棄し、本件を高等裁判所に差し戻すこととした。なお、上告裁判所が原判決を破棄して事件を原裁判所に差し戻す旨の判決をするに当たり、刑事訴訟法408条の趣旨に照らし、必ずしも口頭弁論を経ることを要しないというべきであるとした事例。 |
【文献番号】 |
25580356 |
・裁判年月日 |
令和 2年 1月14日 |
・文献種別 |
判決/東京高等裁判所(上告審) |
・事件番号 |
令和1年(ツ)第120号 |
・概要 |
被上告人(原告・控訴人)が、本件建物の賃貸借契約の締結を媒介した上告人(被告・被控訴人)が、媒介の依頼を受けるに当たって被上告人の承諾を得ていないにもかかわらず、宅地建物取引業法46条1項及び「宅地建物取引業法の規定により宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額」(昭和45年10月23日建設省告示第1552号。本件賃貸借契約が締結された当時のものは、平成16年2月18日国土交通省告示第100号による改正後のもの)の規制を超える額の媒介報酬を被上告人から受領したものであり、上記規制を超える額の受領は宅建業法46条2項に違反し無効であると主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、上告人が受領した媒介報酬のうち上記規制を超える11万8125円の支払等を求め、第1審は、被上告人は上告人との間の本件賃貸借契約のための媒介契約が成立した際に上告人から媒介報酬額の承諾を得ていたと認められ、宅建業法46条2項に違反しないとして被上告人の請求を全部棄却したため、被上告人がこれを不服として控訴し、控訴審は、第1審判決を取消し、宅建業法46条1項、2項及び報酬告示所定の最高額を超える契約部分は無効であり、本件において同条項の最高額を超える部分である11万8125円の媒介報酬の支払については無効であるから、上告人は、被上告人に対し、不当利得に基づく利得金返還を命じたため、上告人が上告した事案で、控訴審の認定判断は、正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。 |
【文献番号】 |
25564685 |
・裁判年月日 |
令和 1年12月20日 |
・文献種別 |
判決/東京地方裁判所(第一審) |
・事件番号 |
平成29年(ワ)第6203号 |
・事件名 |
損害賠償請求事件 |
・概要 |
原告が、株式会社S社に対し、原告が運営するインターネット上の通販サイトにおけるクレジットカードによる決済の機能を利用して商品を購入することができるシステム全体について、セキュリティ対策を含めたシステムの運用、保守管理を委託し、その一環としてハートブリードというセキュリティ上の脆弱性への対策を依頼したにもかかわらず、S社が対策を講じなかったことから、原告の顧客のクレジットカード情報が漏えいし、原告において顧客への対応のための費用等の支出を余儀なくされ、これにより損害を被ったとして、S社を吸収合併した被告に対し、委託契約の債務不履行に基づく損害賠償金の支払を求めた事案において、本件契約に基づき委託される業務にシステム全体のセキュリティ対策を講じることが含まれていたことを根拠付けるものということはできないし、S社における本件契約の担当者が本件情報漏えいの原因について考察しS社の担当者のメールアドレスから送信されたメールも、自らがS社の業務として本件システム全体のセキュリティ対策をしていた旨を明確に示したものということはできないし、そのメールアドレスがS社のものであるからといって、担当者の対応がS社の業務として提供された業務であったことを示すことにはならないとし、請求を棄却した事例。 |
【文献番号】 |
25564683 |
・裁判年月日 |
令和 1年12月 5日 |
・文献種別 |
判決/福岡高等裁判所(控訴審) |
・事件番号 |
令和1年(行コ)第28号 |
・事件名 |
労災保険遺族補償給付等不支給処分取消請求控訴事件 |
・概要 |
被控訴人(原告)が、その夫であり養殖業者に対する魚薬の営業販売等の業務に従事していたDが心室細動を原因とする急性心不全を発症し、これにより死亡したのは、取引先からのストレスにさらされながらの長時間の過重労働や海上での過酷な消毒作業に従事したことによるものであるとして、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付等の請求をしたところ、処分行政庁がいずれも不支給とする決定をしたため、同決定は違法である旨主張して、控訴人(被告、国)に対し、同不支給決定の取消しを求め、原審は、被控訴人の請求を認めて、処分行政庁による不支給決定をいずれも取り消したため、控訴人が、これを不服として控訴した事案において、亡Dの業務と急性心不全の発症との間に相当因果関係があると認めることはできないとして、控訴人の控訴を棄却した事例。 |
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