最新判例
 
令和元年5月3回目紹介判例
(令和元年5月17日新着判例より)


話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。


【文献番号】 25570221
・裁判年月日 平成31年 4月26日
・文献種別 決定 /最高裁判所第三小法廷 (許可抗告審)
・事件番号 平成30年(許)第13号
・事件名 間接強制決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
・概要 相手方(妻)が、抗告人(夫)に対し、両名の長男の引渡しを命ずる審判を債務名義として、間接強制の申立てをし、原決定は、抗告人に対し、長男を相手方に引き渡すよう命ずるとともに、これを履行しないときは1日につき1万円の割合による金員を相手方に支払うよう命ずる間接強制決定をしたため、抗告人が許可抗告した事案で、現時点において、長男の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ長男の引渡しを実現するため合理的に必要と考えられる抗告人の行為は、具体的に想定することが困難というべきであり、本件審判を債務名義とする間接強制決定により、抗告人に対して金銭の支払を命じて心理的に圧迫することによって長男の引渡しを強制することは、過酷な執行として許されず、権利の濫用に当たるとして、原決定を破棄し、原々決定を取消し、相手方の本件申立てを却下した事例(補足意見がある)。

【文献番号】 25562718
・裁判年月日 平成31年 3月28日
・文献種別 判決 /東京地方裁判所 (第一審)
・事件番号 平成29年(行ウ)第196号
・事件名 排除措置命令取消請求事件
・概要 農業協同組合が、自ら以外の者になすを出荷することを制限する条件を付けて、その組合員から、なすの販売を受託しており、これは不公正な取引方法に該当し、独占禁止法19条に違反するとして、同組合に対し、同法20条2項に基づき、公正取引委員会が、当該行為を行っていない旨を確認することなどを命ずる排除措置命令(本件命令)をしたところ、農業協同組合を吸収合併した原告が、本件命令には違反行為をした主体の認定に誤りがあり違法であるなどと主張して、被告(公正取引員会)に対し、本件命令の取消しを求めた事案において、上記行為が排除されたことを取引の相手方に確実に認識させる必要があると判断して本件命令をしたことが、合理性を欠き、裁量権の範囲を超え又はその濫用があったとはいえないとし、本件命令は「特に必要があると認めるとき」(独禁法20条2項、7条2項本文)に当たるとして、原告の請求を棄却した事例。

【文献番号】 25562770
・裁判年月日 平成31年 3月26日
・文献種別 判決 /名古屋地方裁判所岡崎支部 (第一審)
・事件番号 平成29年(わ)第549号 等
・事件名 準強制性交等被告事件
・概要 被告人は、同居の実子であるA(当時19歳)が、かねてから被告人による暴力や性的虐待等により被告人に抵抗できない精神状態で生活しており、抗拒不能の状態に陥っていることに乗じて、Aと性交しようと考え、会議室で、同人と性交し、もって人の抗拒不能に乗じて性交をした(平成29年11月7日付け起訴状記載の公訴事実)、及び、被告人は、同居の実子であるA(当時19歳)が、かねてから被告人による暴力や性的虐待等により被告人に抵抗できない精神状態で生活しており、抗拒不能の状態に陥っていることに乗じて、Aと性交しようと考え、ホテルで、同人と性交し、もって人の抗拒不能に乗じて性交をした(平成29年10月11日付け起訴状記載の公訴事実(但し,同年11月7日付け訴因変更請求書による訴因変更後のもの))事案において、Aが本件各性交当時に抗拒不能の状態にあったと認定することはできず、本件各公訴事実について、刑事訴訟法336条により、被告人に対し無罪を言い渡した事例。


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