最新判例
 
平成30年7月2回目紹介判例
(平成30年7月5日新着判例より)


話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。


【文献番号】 25449552
・裁判年月日 平成30年 6月26日
・文献種別 決定/最高裁判所第一小法廷(上告審)
・事件番号 平成29年(あ)第530号
・事件名 強姦未遂、強姦、強制わいせつ被告事件
・概要 被告人が経営するマッサージ店で敢行された、アロママッサージを受けに来た女性合計4名に対する強姦1件及び強制わいせつ3件のほか、被告人からアロマに関する指導を受けていた女性に対する強姦未遂で起訴された被告人が、暴行及び脅迫、被害者の同意、強姦又は強制わいせつの犯意を争い、第1審判決は、全事件が有罪であるとして懲役11年を言い渡し、控訴審判決も、強姦罪の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとは認められないなどとし、控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、被告人は、本件強姦1件及び強制わいせつ3件の犯行の様子を被害者に気付かれないように撮影しデジタルビデオカセット4本に録画し、被告人がこのような隠し撮りをしたのは、被害者にそれぞれその犯行の様子を撮影録画したことを知らせて、捜査機関に被告人の処罰を求めることを断念させ、刑事責任の追及を免れようとしたためであるとし、さらに、本件デジタルビデオカセットは、刑法19条1項2号にいう「犯罪行為の用に供した物」に該当し、没収することができるとして、上告を棄却した事例。

【文献番号】 25560541
・裁判年月日 平成30年 6月15日
・文献種別 判決/水戸地方裁判所(第一審)
・事件番号 平成28年(行ウ)第9号
・事件名 許可処分義務付け等請求事件
・概要 被告の知事が、原告がした国定公園の特別地域内における太陽光発電設備の新築の許可申請に対し不許可処分をしたため、原告が、被告に対し、同処分の取消し及び同申請に対する許可処分の義務付けを求める事案で、取消訴訟について、本件申請は、被告が主張するいずれの不許可事由にも該当しないというべきであり、そうであるにもかかわらず被告の知事が本件不許可処分をしたことについては、裁量権の逸脱、濫用があるといわざるをえないとして、取消訴訟に係る原告の請求は理由があるとし、また、義務付け訴訟についても、被告の知事が原告に対し本件申請を許可しないことは、その裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるから、原告の本件申請に対する許可の義務付けの請求には理由があるとし、請求を認容した事例。

【文献番号】 25449514
・裁判年月日 平成30年 5月18日
・文献種別 判決/東京高等裁判所(控訴審)
・事件番号 平成29年(ネ)第5012号
・概要 日本国憲法9条について詠んだ第1審原告の本件俳句がさいたま市立公民館が発行する「公民館だより」(本件たより)に掲載されなかったことについて、第1審原告が、本件たよりへの掲載と国家賠償を請求するとともに、控訴審において民法723条に基づく名誉回復措置の請求を追加した事案において、本件俳句には、第1審原告が憲法9条は集団的自衛権の行使を許容するものと解釈すべきではないという思想、信条を有していることが表れていると解し、これを本件たよりに掲載すると公民館の公平性・中立性を害するとの理由で掲載を拒否したのであるから、第1審被告の掲載拒否行為は、第1審原告の公民館の利用を通じた社会教育活動の一環としてなされた学習成果の発表行為につき、第1審原告の思想、信条を理由に、これまでの他の住民が著作した秀句の取扱いと異なる不公正な取扱いをしたものであり、これによって、第1審原告の人格的利益を違法に侵害したというべきであるとして、原判決を変更し、賠償額を減額した事例。


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