最新判例
 
平成30年6月1回目紹介判例
(平成30年6月1日新着判例より)


話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。


【文献番号】 25560120
・裁判年月日 平成30年 4月19日
・文献種別 決定/東京高等裁判所(抗告審)
・事件番号 平成30年(ラ)第125号
・事件名 婚姻費用分担審判に対する抗告事件
・概要 妻である相手方(原審申立人)が、夫である抗告人(原審相手方)に対し、婚姻費用分担金の支払を求める調停を申し立てたが、不調により審判手続に移行し、原審は、抗告人に対し、平成28年8月分から平成29年10月分までの未払婚姻費用分担金合計90万円及び同年11月から当事者の同居又は婚姻解消に至るまで毎月6万円の各支払を命じる旨の審判をしたため、抗告人は、これを不服として、本件抗告を申し立てた事案において、原審判を一部変更し、抗告人は、本件調停が申し立てられた平成28年8月から、毎月4万7000円を支払うべきところ、これを全く支払っていないから、平成28年8月から平成30年3月まで、20か月分合計94万円を直ちに支払うべきであり、平成30年4月1日以降は、当事者の同居又は婚姻解消に至るまで、毎月末日限り、月額4万7000円を支払うべきであるとした事例。

【文献番号】 25560133
・裁判年月日 平成30年 4月13日
・文献種別 判決/那覇地方裁判所(差戻第一審)
・事件番号 平成29年(行ウ)第9号
・事件名 固定資産税等課税免除措置取消(住民訴訟)請求事件
・概要 那覇市の住民である原告が、当時の那覇市長が補助参加人(一般社団法人)に対して都市公園である松山公園の敷地内に久米至聖廟(本件施設)を設置することを許可し、その使用料を全額免除したことは政教分離原則(憲法20条1項後段、3項、89条)に違反し、本件免除は無効であるにもかかわらず、被告(那覇市長)は、違法に上記使用料の徴収を怠っているなどと主張して、〔1〕地方自治法242条の2第1項3号に基づき、被告が、松山公園の使用料を請求しないことが違法であることの確認を求めた差戻後第一審の事案において、本件設置許可等のうちの本件免除は、那覇市と本件施設とのかかわり合いが、我が国の社会的、文化的諸条件に照らし、信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとして、憲法89条の禁止する公の財産の利用提供に当たり、ひいては憲法20条1項後段の禁止する宗教団体に対する特権の付与にも該当すると解するのが相当であるとし、また、本件免除は、憲法20条3項の禁止する国の機関たる地方公共団体による宗教的活動にも該当すると解するのが相当であるとして、被告が使用料のうち181万7063円を補助参加人に対し請求しないことの違法確認を求める原告の請求は全部理由があるとし、原告の請求を認容した事例。

【文献番号】 25560121
・裁判年月日 平成30年 3月26日
・文献種別 決定/東京高等裁判所(抗告審(執行抗告))
・事件番号 平成30年(ラ)第216号
・事件名 間接強制申立却下決定に対する執行抗告事件
・概要 抗告人(死刑確定者として拘置所に収容されている者)が、平成26年4月17日及び平成28年3月30日、相手方(国)に対し、再審請求の打合せを目的とする弁護士との面会につき、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律121条に基づき、職員を立ち会わせる措置を執る旨の処分をすることの仮の差止め等を申し立てたところ、東京地方裁判所は、平成28年12月14日、各基本事件について、再審請求の打合せを目的とする抗告人と弁護士との面会につき、仮に,職員を立ち会わせる措置を執る旨の処分をしてはならない旨の決定をしたが、本件は、抗告人が、東京拘置所長において、前記決定が相手方に送達された後である平成28年12月16日、同月22日、平成29年2月15日、同年3月2日、同月27日及び同年4月3日、同決定に反して、抗告人と再審請求の打合せを目的とする弁護士との面会につき、職員を立ち会わせる措置を執った旨主張して、間接強制の裁判を求める旨の申立てをしたところ、原審は、抗告人の本件申立てを不適法であるとして却下したことから、これに不服の抗告人が抗告をした事案において、抗告人の本件申立ては不適法であるからこれを却下すべきであるところ、これと同旨の原決定は相当であるとして、抗告を棄却した事例。

【文献番号】 25549755
・裁判年月日 平成30年 1月31日
・文献種別 判決/大阪高等裁判所(控訴審)
・事件番号 平成29年(う)第1032号
・概要 被告人が、深夜、神戸市内の飲食店で、一人で飲食していたところ、被害者(戸籍上は男性であるが、性同一性障害との診断を受け、本件時も長髪で女性用の衣服を身に着けるなど一見すると女性に見える姿をしていた。)も被告人の知人女性に連れられて同店を訪れ、はじめは被告人とは離れた席に座ったが、知人女性のすすめもあって被告人の隣の席に座り、被告人と被害者は話をするなどし、その際、被告人が、被害者の膨らんだ胸部を着衣の上からつかんだか否かが問題となっている兵庫県迷惑防止条例違反の事件で、原判決は、被告人に対し、同条例違反の成立を認めたため、被告人が事実誤認及び法令適用の誤りであるとして控訴した事案において、原判決は、基本的に被害者の証言の信用性を認め、これと整合しない被告人供述は採用できないとしてその信用性を否定しており、そのような原判決の判断や判断方法に誤りはないから、被告人の供述が信用できないという結論は揺るがないとした上で事実誤認はないとし、また、原判示の被告人の行為が、「人に対して、不安を覚えさせるような」行為に該当するのは明らかであり、原判決の法令の適用に誤りはないとして、控訴を棄却した事例。


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