最新判例
 
平成30年4月1回目紹介判例
(平成30年3月30日新着判例より)


話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。


【文献番号】 25449341
・裁判年月日 平成30年 3月22日
・文献種別 判決/最高裁判所第一小法廷(上告審)
・事件番号 平成29年(あ)第322号
・事件名 詐欺未遂被告事件
・概要 詐欺未遂事件につき、第1審判決は犯罪事実を認定し、詐欺未遂罪に当たるものとして、被告人を懲役2年4月に処したため、被告人が、第1審判決に対して量刑不当を理由に控訴したところ、控訴審判決は、控訴理由に対する判断に先立ち、職権で以下のとおり判示して第1審判決を破棄し、詐欺罪にいう人を欺く行為(欺罔行為)は認められず、本件公訴事実は罪とならないとして、被告人に無罪を言い渡したため、検察官が上告した事案において、本件嘘を一連のものとして被害者に対して述べた段階で、被害者に現金の交付を求める文言を述べていないとしても、詐欺罪の実行の着手があったと認められるとして、刑事訴訟法411条1号により原判決を破棄し、第1審判決は、被告人に対し懲役2年4月に処した量刑判断を含めた内容で維持し、被告人の控訴を棄却した事例(補足意見がある)。

【文献番号】 25449335
・裁判年月日 平成30年 3月19日
・文献種別 判決/最高裁判所第二小法廷(上告審)
・事件番号 平成28年(あ)第1549号
・事件名 保護責任者遺棄致死(予備的訴因重過失致死)被告事件
・概要 被告人は、A(平成22年生)の実母であり、Aと養子縁組をした夫と共に親権者として自宅でAを監護していたものであるが、夫と共謀の上、自宅等で、幼年者であり、かつ、先天性ミオパチーにより発育が遅れていたAに十分な栄養を与えるとともに、適切な医療措置を受けさせるなどして生存に必要な保護をする責任があったにもかかわらず、その頃までに栄養不良状態に陥っていたAに対して、十分な栄養を与えることも、適切な医療措置を受けさせるなどのこともせず、その生存に必要な保護をせず、Aを低栄養に基づく衰弱により死亡させたとする事件で、第1審は、被告人が、Aが生存に必要な保護として、より栄養を与えられるなどの保護を必要とする状態にあることを認識していたというには合理的な疑いが残るとして、無罪を言い渡したが、検察官が控訴し、控訴審では、被告人は、上記状態にあるという認識があったと認定でき、第1審判決には事実誤認があるとし、訴訟手続の法令違反の点について判断することなく、第1審を破棄し、地方裁判所に差戻しを命じたが、これに対し、被告人が上告した事案で、控訴審において、重過失致死罪に係る予備的訴因並びに罪名及び罰条追加請求の許可決定がされているが、事後審である控訴審で追加変更された訴因、罰条についての審理、判断は、第1審判決に事実誤認又は法令違反があることを理由に第1審判決が破棄されることを前提として行うべきものであるから、第1審判決に誤りを見いだすことができない本件において、重過失致死罪の予備的訴因を審理、判断することはできないとして、原判決を破棄し、控訴を棄却した事例。

【文献番号】 25449344
・裁判年月日 平成30年 2月26日
・文献種別 決定/最高裁判所第一小法廷(上告審)
・事件番号 平成28年(あ)第1869号
・事件名 傷害致死被告事件
・概要 傷害致死被告事件につき、原判決が理由中で、訴因外の被告人の妻との傷害致死の共同正犯が成立するとしたことは、原審では当事者双方とも共同正犯の成立を主張せず、被告人に対する不意打ちを防止するための措置も何ら採られていないなどの本件事案の下では是認できないとし、訴因どおりに傷害致死の単独犯を認定して被告人を懲役9年に処した第1審判決は相当と認められ、控訴を棄却した原判決の結論に誤りはないとし、本件上告を棄却した事例。

【文献番号】 25549515
・裁判年月日 平成30年 1月18日
・文献種別 判決/東京高等裁判所(控訴審)
・事件番号 平成29年(ネ)第3936号
・事件名 否認請求の認容決定に対する異議控訴事件
・概要 自動車販売会社から自動車を購入したB(破産者)の支払不能により、破産者の連帯保証人として保証債務の履行を行った控訴人(ファイナンス会社)が、同自動車の留保所有権に基づき破産者から自動車の引渡しを受けて換価及び債務への充当を行ったことにつき、その後、破産者につき破産手続開始決定がされたことにより破産管財人に選任された被控訴人が、控訴人の上記行為は破産法162条1項1号イの偏頗行為に該当すると主張して否認の請求を行い、価額の償還を求めたのに対し、破産裁判所がこれを認容する決定(原決定)をしたことについて、控訴人が異議の訴えをしたところ、原審は、控訴人の異議を排斥して原決定を認可したため、控訴人がこれを不服として控訴した事案において、原決定を認可した原判決は相当であり、控訴を棄却した事例。


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