平成30年1月3回目紹介判例
(平成30年1月18日新着判例より)
話題の判決
テレビ、新聞記事などで報道され、注目された最新判決を「話題の判決」としてご紹介します。
【文献番号】 |
25548338 |
・裁判年月日 |
平成29年12月12日 |
・文献種別 |
決定/最高裁判所第三小法廷(上告審) |
・事件番号 |
平成29年(受)第1808号 |
・概要 |
一審原告(申立人)は、本件土地並びにその一部の土地上にある3階建共同住宅(本件不動産)を購入して代金を支払い、自己に対する所有権移転登記を経たが、その際、弁護士である一審被告が、不動産登記規則72条に基づく本人確認情報を提供し、登記義務者代理人として所有権移転登記申請をし、売主として売買契約に立ち会った者が売主に成りすました他人であり、売主の住民基本台帳カード等の書類が偽造されたものであったため、後に、真実の所有者から所有権移転登記抹消登記手続を求められ、当該不動産の所有権を取得することができず損害を被ったとして、一審原告が、一審被告に対し、一審被告が過失により、売主の本人確認の際に提示を受けた住民基本台帳カード等の書類が偽造されたことに気付かないまま誤った本人確認情報を提供したとして、不法行為に基づく損害賠償金の支払等を求めた事案において、第一審判決は、一審被告には、売主である女性(自称g)の本人確認で、成りすましによるものであることを疑うべき事情があり、これによって一審原告が損害を被ることについての結果予見可能性及び結果回避可能性があるところ、一審被告において注意義務を尽くしたとはいえないから不法行為責任を負うべきであるとして、一部認容、一部棄却したため、これに不服の双方(なお、一審被告が死亡したため一審被告の相続について限定承認をした一審被告訴訟承継人が地位を承継した)が控訴し、控訴審判決は、一審原告の請求は理由がないから全部棄却すべきであり,これを一部認容した原判決は失当であり、一審被告訴訟承継人の控訴は理由があるとし、原判決中一審被告訴訟承継人敗訴部分を取消した上、前記取消しに係る一審原告の請求を棄却することとし、一審原告の控訴を棄却したため、一審原告が上告受理の申立てをした事案において、本件を上告審として受理しないと決定した事例。 |
【文献番号】 |
25548251 |
・裁判年月日 |
平成29年 6月28日 |
・文献種別 |
判決/東京高等裁判所(控訴審) |
・事件番号 |
平成28年(ネ)第5763号 |
・事件名 |
損害賠償請求控訴事件 |
・概要 |
7筆の土地並びにその一部の土地上にある3階建共同住宅を購入して代金を支払い、自己に対する所有権移転登記を経たが、その際、弁護士である被告が、不動産登記規則72条に基づく情報を提供し、登記義務者代理人として所有権移転登記申請をしたところ、売主として売買契約に立ち会った者が売主に成りすました他人であり、売主の住民基本台帳カード等の書類が偽造されたものであったため、後に、真実の所有者から所有権移転登記抹消登記手続を求められ、当該不動産の所有権を取得することができず損害を被ったとして、原告が、被告に対し、被告が過失により、売主の本人確認の際に提示を受けた住民基本台帳カード等の書類が偽造されたことに気付かないまま誤った本人確認情報を提供したとして、不法行為に基づく損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、被告には、売主であるgを名乗る女性(自称g)の本人確認において、成りすましによるものであることを疑うべき事情があり、これによって原告が損害を被ることについての結果予見可能性及び結果回避可能性があるところ、被告において注意義務を尽くしたとはいえないから不法行為責任を負うべきであるとした上で、原告にも4割の過失相殺を認め、請求を一部認容したため、被告及び原告が控訴した事案において、被告において、本件本人確認情報を作成する際に相応な調査・確認を行っていると認められるのであり、それ以上に、売主と名乗る者の自宅を訪れ、あるいは、QRコードを読み取るなど、住基カードの提示を求める方法以外の方法によって本人確認すべき注意義務があったとは認められないとして、原判決を取り消し、請求を棄却した事例。 |
【文献番号】 |
25449105 |
・裁判年月日 |
平成29年11月30日 |
・文献種別 |
判決/大阪高等裁判所(控訴審) |
・事件番号 |
平成29年(ネ)第53号 |
・事件名 |
損害賠償請求控訴事件 |
・概要 |
控訴人(原告)が、大阪府情報公開条例に基づき、大阪府知事に対し、第16回ピースおおさか展示リニューアル監修委員会配付資料等の公開請求をしたのに対し、大阪府知事から、上記配付資料に記録されている情報が本件条例8条1項所定の非公開条例に該当することを理由とする非公開決定を受けたところ、同決定は違法であり、これにより精神的苦痛を受けたと主張して、被控訴人(被告。大阪府)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払を求めた事案の控訴審において、本件文書を公開することにより、本件センターの正当な利益を害すると認められるとして、法人等情報に該当することを理由に本件非公開決定をしたことに相応の合理的な根拠が認められず、本件非公開決定は、大阪府知事が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件非公開決定をした点で、国賠法上も違法であるとして、原判決を変更して、控訴人の請求のうち、被控訴人に対し5万円を支払うよう命じ、その余の請求を棄却した事例。 |
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